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スタンフォード大学で「がん治療」に画期的な成果!

2018.04.19

スタンフォード大学で「がん治療」に画期的な成果!


日本人の死因の第1位は「がん」(悪性新生物)です。世界中でがん治療のための研究が行われていますが、2018年1月31日にスタンフォード大学から、がん治療の未来を明るくするような発表がありました。今回はこれについてご紹介します。

記事監修



伊沢博美 先生


専門は、放射線科、腫瘍内科。2003年に獨協医科大学卒業、2011年に順天堂大学大学院卒業。

医療法人進興会、セレンクリニック東京、日本医科大学健診医療センターを経て2015年より表参道ヘレネクリニックに勤務。女医+(じょいぷらす)所属。


▼表参道ヘレネクリニック

http://stemcells.jp/

▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/246

■免疫システムを生かす仕組み

スタンフォード大学 医科大学院(Stanford University School of Medicine)のロナルド・レビー(Ronald Levy)博士の研究チームは、新しい抗がんワクチンの効果について発表しました。


これは、二種類の薬剤を腫瘍に直接注入してT細胞を活性化、増殖させてがん細胞を攻撃するようにする、というものです。


T細胞は、体内に侵入した異物を退治するための免疫システムで重要な役割を果たします。がん細胞に存在する特異なタンパク質を認識して攻撃するのですが、がん細胞が増殖して圧倒され始めるとうまく機能できなくなるのです。


そこで、がん細胞にさらされているT細胞を二種類の薬剤で活性化してがん細胞を攻撃できるようにしてやります。再活性化されたT細胞はがん細胞をやっつけ終わると、体内を移動してほかの場所にある同種のがん細胞も攻撃するのです。


※レビー博士は、世界初のモノクローナル抗体薬(悪性リンパ腫の治療に用いられる抗体薬)であるリツキシマブ(抗悪性腫瘍剤)の開発をリードした、がん免疫治療のパイオニアとして知られています。

■マウス実験の驚くべき結果

この薬剤のテストでは、ふたつの部位にマウスリンパ腫腫瘍を移植したマウスを実験に用いました。ふたつの薬剤を一方の腫瘍に注入すると、それが治療されただけでなく、注入されていないほうの腫瘍も治療されるという効果がありました。


90匹中87匹のマウスの腫瘍が治療できたのです。3匹のマウスで再発が見られましたが、腫瘍は2回目の治療で退縮させることができました。また、乳房、結腸、黒色腫の腫瘍のマウスでも同様の結果を確認したとのことです。


さらに、二カ所に同じリンパ腫の細胞を移植し、別の場所に大腸がん細胞を移植。一カ所のリンパ腫の腫瘍に薬剤を注入するという実験も行われました。薬剤が注入された腫瘍の治療は、別の場所にあるリンパ腫をも退行させましたが、また別の部位にある大腸がん細胞には影響を与えませんでした。


これは、この薬剤がある特定の腫瘍に対抗できるT細胞を活性化できることを示しています。活性化されたT細胞は、体内のほかの場所にあっても同種の腫瘍に対しては攻撃しますが、異なる腫瘍には影響を及ぼさないのです。つまり、その人が罹患(りかん)している特定の腫瘍を狙い打ちできる治療法であることの証明です。


この治療法が確立されれば、最初にできた腫瘍を治療することで、将来の腫瘍の発生を予防することも可能になるでしょう。


レビー博士は、

免疫系が機能している限り、どんな種類の腫瘍でも治療できるポテンシャルがあると思う

“I don't think there's a limit to the type of tumor we could potentially treat, as long as it has been infiltrated by the immune system"

と頼もしい発言を行っています。


レビー博士は、悪性度の低いリンパ腫に罹患した患者15人を募って臨床試験を開始するとのこと。この新しい薬剤が、がん治療に大きな成果を挙げることを期待しましょう。

⇒データ出典:

『Stanford University School of Medicine』「Cancer ‘vaccine’ eliminates tumors in mice」

https://med.stanford.edu/news/all-news/2018/01/cancer-vaccine-eliminates-tumors-in-mice.html

(高橋モータース@dcp)