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最近なんだか忘れっぽい……。「健忘症」の原因とは?

2018.02.22

最近なんだか忘れっぽい……。「健忘症」の原因とは?


「最近、なんだか忘れっぽい」とか「もの忘れがひどい」なんて感じることがあります。記憶力は年齢とともに衰えていくことが多いので、特に気にしていない方もいらっしゃるかもしれません。しかしこの「よく物忘れする」「忘れっぽい」といった症状は、「健忘症」の可能性もあるそう。今回は健忘症について解説します。

記事監修



福田敬子 先生


精神科医。都内メンタルクリニック勤務。早稲田大学卒業、同大学院修士課程修了。カリフォルニア大学バークレー校留学、金融機関勤務ののち、山口大学医学部卒業。東京都立松沢病院、日本医科大学付属病院精神神経科などを経て、現職。

女医+(じょいぷらす)所属。

「健忘症」とは?

『広辞苑』によると【健忘症】とは

【健忘症】①記憶が著しく障害される症候。見聞きしたことを記銘できず、すぐに忘れてしまうもの(前向性健忘)や、ある時からさかのぼって過去の記憶をなくすもの(逆行性健忘)がある。

(『広辞苑 第六版』P.914より引用)

とのこと。また『ICD-10』によれば、病気としては「健忘症候群」(Amnesic syndrome:アムネジック・シンドローム)と分類されるようです。これは記憶の一部が失われる疾患で、


●前向性健忘

新しく見聞きしたことが覚えられない/すぐに忘れてしまう


●逆行性健忘

ある時から先の記憶がない/すでに学習したことを思い出せない


といった症状が顕著な特徴です。また、


●短期記憶

数十秒-数十分といった短期間だけ保持される記憶。この場合は「即時記憶」という呼び方もあります。


●近時記憶

短期記憶(即時記憶)よりも長いが、数分-数日といった期間だけ保持される記憶


このような「短い期間だけ保持される記憶」に障害が起こりやすいのも特徴です。

健忘症候群の原因とは?

「健忘症候群」の原因としては以下のようなものが挙げられます。


●脳の特定部位の損傷

間脳(視床や正中核など)、中側頭葉(海馬、乳頭体、扁桃体など)が何らかの原因で損傷を受けると、健忘症候群の症状が現れることがあります。


●外傷

外傷によっても健忘症候群が起こることがあります。大きな打撲などの衝撃が頭に加わり、それによって上記のような脳の記憶をつかさどる部位で血流障害などが起こると、健忘症候群の症状が現れることがあります。


●病気

脳腫瘍、多発性硬化症、脳血管性疾患、また単純ヘルペス性脳炎といった病気がもとで、健忘症候群の症状が現れることがあります。


●薬物

ベンゾジアゼピン系の薬(抗不安薬や睡眠薬として処方されることが多い)は健忘を引き起こす可能性があることが知られています。アルコールとの併用はリスクが高くなるので避けなければいけません。


健忘症候群の診断には、短期記憶・近時記憶に障害があるか、出来事を時間軸に沿って配置できているか、といった点が考慮されます。また、アルコール中毒の人は記憶に欠落が生じることが多く見られますので、アルコール中毒や薬物中毒に陥っていないか、といった点もチェックされます。



健忘症候群のメカニズムは明らかにはなっていません。しかし、記憶をつかさどる脳の部位に障害が発生すると、症状が現れることがあるのは確かです。「ランチに何を食べたか思い出せない」といったことがあれば専門医を受診するようにしてください。


(高橋モータース@dcp)