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風邪?それとも…?「リンパが腫れる」原因って?

2018.02.11

風邪?それとも…?「リンパが腫れる」原因って?


人間の体には血液を循環させるための血管が走っていますが、血液と同様に全身を循環する流れに「リンパ液」があります。リンパ液は体中を巡り、病原体から体を守るなどの仕事をします。今回は「リンパ系の役割と仕組み」について解説します。

記事監修



岡村信良 医師


医療法人小田原博信会 理事長、医学博士-健康検定協会-

■「リンパ系」の役割と仕組みを知っておきましょう!

全身を流れる「リンパ液」、リンパ液を流すための「リンパ管」、リンパ管が合流する所にある「リンパ節」から成るネットワークを一般に「リンパ系」と呼びます。


リンパ系の仕事は主に以下の3つになります。

①病原菌・毒素を撃退する

②老廃物を運ぶ

③栄養分を運ぶ

リンパ液は毛細血管から染み出た血漿(けっしょう)がリンパ管に流入したものです。リンパ液はリンパ管の中を流れ、最後には血管に流れ込み、心臓、動脈を経由して毛細血管へ運ばれ、再びリンパ管に流入、というコースで全身を循環しています。


リンパ液の中には「リンパ球」が含まれています。リンパ球は骨髄で作られますが、毛細血管から染み出してリンパ管に入り、リンパ系を流れるのです。


リンパ球は、体外から侵入してきた微生物を識別し、攻撃できる「抗体」を作ります。一度接触した微生物の性質を記憶し、それを引き継ぐシステムも持っています。そのため、再度侵入した微生物があると、「アイツだ!」とその微生物用の抗体を作ることができるのです。これが「免疫」の仕組みです。


リンパ管の要所要所にあるのがリンパ節。リンパ節は豆状の形をした組織で、これはリンパ液を漉(こ)してきれいにするフィルターの役割をします。リンパ管を流れてきた、病原体や体の老廃物などをここで漉し取るのです。


また、リンパ節はリンパ球を一時的に蓄える役割もします。リンパ球はここで分裂して増え、体内に入った病原菌や毒素と戦います。全身に約800カ所もあるリンパ節は、体を防衛するための前線基地でもあるのです。

■「リンパが腫れる」ってどんな意味?

リンパ系は上記のように、人体を病原菌・ウイルスなどから守るための重要な役割を果たしています。ですから、病原菌・ウイルスとの戦いがあると、リンパ系に負荷がかかります。


耳の下辺りや顎の下辺りに、ぐりぐりと触れるような腫れがあれば、それはリンパ節が侵入者と戦っている証拠です。前線基地が大忙しになっているのです。


「リンパが腫れる」という言い方がありますが、これは「リンパ節が腫れていること」を意味しています。上記のとおり、リンパ節は人体に約800カ所もありますが、その場所によって「腫れを引き起こす病気」も変わってきます。


リンパ節の場所、腫れを引き起こす病気の代表例は以下のようなものです。


  • 耳の周辺にあるリンパ節が腫れる

    「外耳炎」「中耳炎」「内耳炎」「流行性耳下腺炎(おたふく風邪)」など耳の感染症

  • 顎の下にあるリンパ節が腫れる

    歯周病」(虫歯・口内炎等)などの感染症

  • 首の両側にあるリンパ節が腫れる

    「結核」などの感染症/「壊死(えし)性リンパ節炎(菊池病)」など

  • 鎖骨の上部にあるリンパ節が腫れる

    胃がん、肺がんなど

  • 脇の下にあるリンパ節が腫れる

    手・腕などの外傷、またおできなどによっても

  • 太ももの付け根にあるリンパ節が腫れる

    足の外傷、またおできなどによっても/梅毒、淋(りん)病などの感染症


ほかにも、いわゆる風邪でもリンパ節が腫れることがあります。細菌・ウイルスと戦うのがリンパ系の仕事ですので、細菌・ウイルスによって起こるありとあらゆる感染症でリンパ節が腫れる可能性があるのです。また、肉芽腫(サルコイドーシス)によってもリンパの腫れが起こることがあります。


全身のリンパ節が次々と腫れるといった場合には、内臓のがんや肉腫の転移、血球の腫瘍などが疑われます。リンパ球系細胞が悪性化して増殖することがあり、これを「悪性リンパ腫」といいますが、この場合もリンパが腫れます。


いずれにしても「リンパが腫れる」のは良いことではありません。リンパ節が腫れる原因には何らかの病気があります。リンパが腫れていたら必ず医師の診察を受けるようにしてください。


(高橋モータース@dcp)