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皮膚ガスって何?体臭につながる?

2018.01.30

皮膚ガスって何?体臭につながる?


私たちの体の表面からは、常に「皮膚ガス」と呼ばれるガスが排出されています。ガスというと、なんだか「有害で臭そう……」なんてイメージを持ってしまう人もいるかもしれません。さて、皮膚ガスとはいったい何なのでしょうか?

記事監修



屋代未佳 先生


日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。北里大学医学部卒業。その後、大学病院や関連病院で勤務。

女医+(じょいぷらす)所属。

■皮膚ガス=体臭?

私たちの体の中では、呼吸や消化・吸収など、生命を維持するための活動を行っており、その過程でさまざまなガスが発生します。たとえば消化・吸収の過程では、水素やアンモニアなどのガスが腸内で発生しています。こうした体が作り出しているガスは「生体ガス」と呼ばれており、今回のテーマである「皮膚ガス」も、この生体ガスのひとつです。


皮膚ガスは体の表面から出ている揮発性の有機・無機化合物の総称で、その一部は「体臭」として知覚されます。東海大学理学部化学科の関根嘉香(せきね・よしか)教授の発表によると、皮膚ガスの成分については二酸化炭素、アンモニアなどの無機化合物と、メタンやエタン、エチレン、ベンゼンなどの有機化合物が挙げられるものの、その成分の数はいまだ十分に把握されていないそうです。


また、関根教授の研究によると、皮膚ガスはその由来によって大きく3つに分けられます。ひとつは、血中の化学物が揮発し、直接皮膚から放散する「血液由来」。次に、揮発した血中の化学物質が汗腺や脂腺を経由して放散する「皮膚腺由来」。そして汗や皮脂が常在菌によって酸化することで揮発性化合物に変化し、皮膚表面から放散する「表面反応由来」です。

■皮膚ガスにはどんなものがある?

数多くの種類がある皮膚ガスの成分ですが、身近なものですと以下のものが挙げられます。


  • アセトアルデヒド

    アセトアルデヒドは、お酒などに含まれるエタノールが代謝されることで産出される物質です。呼気よりも皮膚ガスとして放散される速度のほうが高いという特徴があります。「お酒臭さ」の主な原因が、このアセトアルデヒドです。

  • 2-ノネナール

    2-ノネナールは、皮脂に含まれるパルミトレイン酸などの不飽和脂肪酸が酸化することで発生する成分です。脂臭いような独特の臭気があり、加齢とともに放散量が増加する傾向にあるため、「加齢臭」とも呼ばれています。

  • ジアセチル

    汗の中に含まれる乳酸が、皮膚表面にある常在菌と反応することで発生する成分です。2-ノネナールと同じく脂臭さがあり、特に30~40代の男性から多く放散されます。中年男性独特のにおいの原因でもあります。

  • アンモニア

    おしっこなどに含まれるアンモニアは、刺激臭を持つため悪臭の原因のひとつとされています。このアンモニアも皮膚ガスとして放散されます。たとえば運動後や大きなストレスを感じたときなどにその量が増えるとされています。


皮膚ガスの中には、上で挙げたような「好ましくないにおいを放つもの」もあります。そのため、そうした不快なにおいの皮膚ガスを抑えたい場合は、たとえば2-ノネナールなら余分な皮脂を取り除く、ジアセチルなら汗をそのままにせずに拭き取るなどして、清潔にすることが対策として挙げられます。特に2-ノネナールは、女性でも加齢とともに放散量が増加するものなので、ケアを怠らないようにしたいところです。



「体臭」は、さまざまな皮膚ガスによってそのにおいが構成されているのです。最近では皮膚ガスから健康状態を検査する方法が注目されるなど、さまざまな研究が行われています。未知の要素が多い皮膚ガス。今後どのような活用がされるのか、期待しましょう。

⇒参考データ:

「ヒト皮膚から放散する微量生体ガスと臨床環境」(東海大学理学部化学科 関根嘉香教授)

http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/healthy/jsce/jjce25_2_69.pdf

(中田ボンベ@dcp)