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日本の通院理由トップ!「高血圧症」によって起こる病気とは?

2018.01.18

日本の通院理由トップ!「高血圧症」によって起こる病気とは?


厚生労働省のデータによると、日本人の通院理由として最も多いのが「高血圧症」によるもので、男女共に最多となっています。今回は「高血圧症」の原因、「高血圧症」によって起きる病気について解説します。

記事監修

岡村長門 医師


岡村クリニック 院長、外科認定登録医-健康検定協会-

■日本人が通院する理由のトップは「高血圧症」

厚生労働省が公開している『国民生活基礎調査の概況(平成28年)』の「通院者の状況」によると、けがや病気で通院している人の割合は人口1,000人当たり390.2人で、この割合を「通院者率」といいます。これを理由別に見ると、以下のようになります。

●男性の通院者率の上位5傷病(しょうびょう)(複数回答)


1.高血圧症

2.糖尿病

3.歯の病気

4.眼の病気

5.腰痛症


●女性の通院者率の上位5傷病(複数回答)

1.高血圧症

2.眼の病気

3.歯の病気

4.腰痛症

5.高脂血症(高コレステロール血症等)

⇒データ引用元:

『厚生労働省』「平成28年 国民生活基礎調査の概況」の「III 世帯員の健康状況」

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/04.pdf

この調査では複数回答を認めているため、一人の通院者が複数の理由で通院しているケースもありますが「高血圧症」のために通院している人が多いというのは事実のようです。

■高血圧症とは? 高血圧症の種類・原因

血圧とは血液が血管の内壁を押す力のことで、常に変動しています。夜寝ている間は低く、目覚めとともに上昇し、日中は高くなります。血圧を測定したときに正常の値よりも高ければ「血圧が高い」ということですが、そのときたまたま高かっただけかもしれません。こういうときには「高血圧症」だとは言い切れないのです。繰り返し測定し、正常よりも高い場合(最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上)には「高血圧症」と診断されます。

高血圧症は「本態性(ほんたいせい)高血圧」、「二次性高血圧」のふたつに分類されています。


  • 本態性高血圧

    高血圧症のうち、約90%が「本態性高血圧」なのですが、具体的な原因がはっきり分かりません。ほかの病気やホルモンの異常がない高血圧症のことを指します。塩分過多、肥満、過剰飲酒、ストレス、運動不足、喫煙といった生活習慣や遺伝的な因子が原因であると考えられています。


二次性高血圧には以下のような種類があります。


  • 腎血管性高血圧

    腎動脈の血流量が減ると体の中に水分が不足していると認識し、腎臓から血圧を上げるホルモンが分泌されます。腎血管性高血圧とは腎動脈が何らかの原因で狭くなったりすることによって血流量が減り、腎臓が血圧を上げるホルモンを出し続けてしまうことで起こる高血圧です。

  • 腎実質性高血圧

    腎臓の病気が原因で起きる高血圧です。慢性糸球体腎炎、慢性腎盂腎炎、多発性嚢胞腎などがあります。具体的には体内にあるナトリウムが排泄できないことで、血圧が上昇することになります。原因となっている腎臓の病気を治療すれば、高血圧も改善されますが、同時に食事(減塩)や降圧薬の併用を行うことが必要になります。

  • 原発性アルドステロン症

    「アルドステロン」というホルモンの分泌が過剰になるために起きる病気です。このホルモンは腎臓に作用して尿中にカリウムを排出し、体内にナトリウムと水分を蓄えます。この働きにより、高血圧になるのです。高血圧症の約10%を占めるという報告があります。

  • クッシング症候群

    「コルチゾール」というホルモンの過剰分泌によって起きる病気です。脳の下にある下垂体(かすいたい)、あるいは副腎皮質(ふくじんひしつ)にできた腫瘍が原因でコルチゾールが過剰に分泌されることがあります。ホルモンが過剰に分泌されていると、正常な副腎は休んで小さくなってしまいます。腎機能が正常に働かないため、血圧が上がってしまいます。この症候群の中でも「下垂体腺腫(せんしゅ)」が原因で起きるものを「クッシング病」といいます。

  • 褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)

    「褐色細胞腫」は、腎臓上部にある副腎の内側の髄質(ずいしつ)、あるいは脊髄に沿った交感神経節細胞にできる腫瘍です。この腫瘍からカテコールアミンというホルモンが分泌され、血圧が上昇します。

  • 大動脈炎症候群(だいどうみゃくえんしょうこうぐん)

    大動脈と、そこから分かれる大きい動脈の壁に炎症が起こり、この炎症の結果、血管に狭窄や閉塞、拡張といった変化が起こり、いずれも血流障害が発生します。血圧上昇だけではなく、脳や心臓、腎臓等にも障害を与えます。日本の高安右人教授が初めて報告したため「高安動脈炎」とも呼ばれています。原因は不明ですが、自己免疫疾患が関与しているという報告があります。

  • 睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)

    睡眠時無呼吸症候群」とは睡眠時に呼吸が止まったり、低呼吸になる病気です。英語の病名「Sleep Apnea Syndrome」を略して「SAS」ともいいます。夜間に無呼吸が原因で脳が覚醒反応を起こして交感神経が興奮すること、胸腔(きょうくう)内圧が低下して静脈の血流が多くなることが原因で、血圧が上昇します。

■高血圧症が引き起こすほかの疾患

高血圧自体には目立った自覚症状がありません。しかし、高血圧の状態が続いていると、動脈硬化につながります。血管は本来しなやかでゴムのように弾力があるのですが、コレステロール等が付着・蓄積されると弾力を失って硬くなったり、粥腫(じゅくしゅ)というコブで血管が狭くなって血流を滞らせます。


動脈硬化が脳で進行すると脳卒中「脳出血」「脳梗塞」に、心臓付近で進行すれば虚血性心疾患「狭心症」「心筋梗塞」、腎臓で進行すれば腎障害「腎硬化症」、最終的には「腎不全」といった病気になります。



高血圧自体には特に自覚症状がないことが多いのですが、重篤な病気につながることから「サイレントキラー」とも呼ばれています。早く異常に気が付くためには、できれば家庭で朝と夜(もしくは眠前)の2回血圧測定することで高血圧になっていないかを確認することも大切です。また、定期的に健康診断を受けると良いでしょう。高血圧は生活習慣による部分もあるので、不規則な生活をしている人は気を付けましょう。

⇒データ出典:

『厚生労働省』「2 通院者の状況」

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/3-2.html

(藤野晶@dcp)