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ワキガの人とそうでない人の違いって?腋臭症と遺伝子の関係

2018.01.09

ワキガの人とそうでない人の違いって?腋臭症と遺伝子の関係


腋臭症(えきしゅうしょう)、いわゆる「ワキガ」は日本では少数ですが(人口の10%と推定されます)、人類全体で見るとむしろ腋臭症の人のほうが多いと推測されています。なぜ日本人には少なく、外国人に多いのでしょうか?これは、「遺伝子」が腋臭症に関係しているからです。今回は遺伝子とワキガの関係を解説します。

記事監修



丸山直樹 先生


銀座マイアミ美容外科院長、昭和大学藤が丘病院形成外科兼任講師。日本形成外科学会(専門医)、日本美容外科学会(JSAPS,JSAS)、医師+(いしぷらす)所属。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/142

▼銀座マイアミ美容外科 公式ホームページ

http://myami-clinic.jp

■いわゆる「ワキガ」とは

腋臭症は汗が原因で起こります。汗を分泌する汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」があるのですが、アポクリン腺には、

脇の下(腋窩腺)、外耳道(耳道腺)、乳首の周辺(乳輪腺)、肛門近辺(肛門周囲腺)などにあり、脂質やタンパク質などを含む汗を分泌する

という特徴があります。アポクリン腺から分泌される汗自体は無臭なのですが、汗に含まれる脂質やタンパク質が皮膚や脇毛にいる常在菌によって分解され、異臭が発生するのです。


ですので「アポクリン腺が多く、その働きが活発な人」は腋臭症になりやすいといえます。このアポクリン腺が多く、その働きが活発という「形質」は、遺伝子によって決定されています。

⇒参考:

【医師が監修】「くさい」って思われてるかも!? ワキガの原因と対策法

https://mycarat.jp/articles/364

■アポクリン腺の多少を決める遺伝子

アポクリン腺が多い・少ないという「形質」は「ABCC11遺伝子」によって決定されています。ABCC11遺伝子の「特定部位の塩基の組み合わせ」が1カ所違うだけでその差が発生します。具体的には、

  • 組み合わせが「AA型」

    ⇒アポクリン腺が少ない

  • 組み合わせが「GG型」or「GA型」

    ⇒活発なアポクリン腺を多く持つ

となります。日本人の70%から80%の人が「AA型」で、そもそもアポクリン腺の数が少ない人がほとんどです。欧米人と比較すると、「GG型」「GA型」の人は1/4にすぎないと推計されています。逆にいえば、欧米人ではアポクリン腺が多く、その働きが活発な人が80%を占めるというわけです。


この遺伝子は、耳垢の「乾型」「湿型」にも関係しています。AA型の人の耳垢は乾いたフレーク状のものとなります。対してGG型・GA型の人の耳垢は湿ったものになります。ですので、腋臭症になりやすい人(アポクリン腺の多い人)かどうかを判定するのに、耳垢のタイプを聞くことが有効なのです。

※耳垢の「乾型」「湿型」を決定するABCC11遺伝子の塩基対を世界で初めて特定したのは、科学技術振興機構(JST)の研究チーム(新川詔夫教授・吉浦孝一郎助教授:肩書は以下引用記事のまま)です。詳細は以下のURLを参照のこと。


⇒参照記事:

『国立研究開発法人 科学技術振興機構』「科学技術振興機構報 第248号」

http://www.jst.go.jp/pr/info/info248/


間違えないでいただきたいのは、遺伝子によってアポクリン腺の多いか少ないかは決定されていますが、「その遺伝子を持つ人全てがワキガといわれるほど体臭が強いとは限らない」という点です。


アポクリン腺が多い人でも、「アポクリン腺から分泌される汗を皮膚の常在菌によって分解させなければ良い」のです。汗をかいたらよく拭うこと、また「塩化アルミニウム液」を主成分とする制汗剤を使うなどによって異臭を抑えることは十分に可能です。



日本人では少数であるため、体臭が強いことはマイナス面として語られることが多いですが、海外では体臭が強い人のほうが多いという点にも留意すべきかもしれませんね。


(柏ケミカル@dcp)