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子宮内膜症の痛みとは?生理痛とどう違うの?

2017.09.07

子宮内膜症の痛みとは?生理痛とどう違うの?


子宮内膜症は「痛み」「不妊」が主な症状です。子宮内膜症患者のほとんどが「月経時の生理痛」を訴えています。また月経時以外でも下腹痛があることも多いのです。では、子宮内膜症の際に感じる痛みとは、通常の生理痛とはどう違っているのでしょうか?

記事監修



加藤智子先生


産婦人科医。浜松医科大学医学部医学科卒業、社会医療法人財団新和会八千代病院、三河安城クリニック勤務。日本産科婦人科学会(専門医)、日本医師会(認定産業医)、日本抗加齢医学会(専門医)、NPO法人女性と加齢のヘルスケア学会(更年期カウンセラー)、日本産婦人科内視鏡学会、日本女性心身医学会、検診マンモグラフィ読影認定医、日本気象予報士会東海支部(気象予報士)。女医+(じょいぷらす)所属。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/111

■子宮内膜症の痛みってどんなの?

子宮内膜症で感じる痛みは、しばしば「疼痛(とうつう)」と表現されます。疼痛とは「ズキズキとうずくような痛み」で、しかもこれが継続します。通常の痛みより激しく、時に我慢できないほどのものとなります。


子宮内膜症の痛みの症状として、以下のようなものが挙げられます。

  • 年齢とともに強くなっていく生理痛

  • 月経時以外の下腹痛、腰痛、性交痛、排便痛

まず「年齢とともに強くなっていく生理痛」ですが、これは「月経のたびに痛みがひどくなる」と解釈してもいいのです。というのは、病変組織が月経のたびに(ホルモンの分泌によって)増殖・剥離(はくり)と出血を繰り返すため(後述)、月経を重ねるたびに病状が進行するからです。


子宮内膜症患者のほとんど(約9割)が生理痛を感じていらっしゃいますが、これを普通の生理痛、いわゆる「機能性月経困難症」と区別するのは難しいことです。機能性月経困難症でもひどい生理痛を感じる女性は少なくありませんから、この自覚症状だけで子宮内膜症とは判断できないのです。腰痛も同じで、子宮内膜症患者の約6割が腰痛を感じますが、機能性月経困難症でも生理痛に腰痛が伴うことは珍しくありません。


しかし子宮内膜症の場合には、月経時「以外」でも下腹痛を感じることが少なくありません(約7割)。セックスしているときに膣の奥の方に痛みを感じる「性交痛」、排便時に肛門の奥に痛みを感じる「排便痛」は、子宮内膜症を疑う要因になります。ただし、これらもまた子宮内膜症だから必ずあるとは限らないのです。

■子宮内膜症の痛みの原因は?

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所で増殖・剥離と出血を繰り返す病気です。この異常な組織は、卵巣、卵管、子宮周囲の腹膜、ダグラス窩(子宮と直腸の間にあるくぼみのこと)といった場所で増殖することが多いのです。


子宮内膜は受精卵の着床に備えて厚みを増します。その後、受精卵の着床が起こらない場合には、厚みを増した部分が剥がれ落ち、月経血となって体外に排出されます。しかし、子宮以外で子宮内膜に似た組織が剥離、出血を起こしても、それは体外に排出されません。


月経のサイクル(つまりは体内のホルモンの分泌)のたびに増殖・剥離と出血が行われて、不要物が体内にたまっていくのです。これが炎症を引き起こします。さらに出血を治そうとして体の免疫機能が働くと、それがあだとなって周辺組織との癒着が起きます。この炎症や癒着が痛みを引き起こすと考えられています。


また病変組織は、時間がたつにつれて大きく、また硬くなっていきます。この病変組織自体が周囲の臓器や神経を刺激して痛みを感じさせる原因になりますし、周辺の臓器・組織と癒着が起こっていると、一種のひきつれのようになって、蠕動(ぜんどう)運動などの際に痛みを引き起こす可能性があります。たとえば、性交痛はセックスによって臓器が動き、排便痛は便を出そうとする腸管が動き、そこに癒着した部分があると引っ張られて異常な痛みを感じさせるのではないかと推測されています。

子宮内膜症が痛みを生み出すメカニズムについてはその全てが解明されているわけではありません。厄介なことに子宮内膜に似た組織は、さまざまな場所で増殖・剥離と出血を繰り返します。病巣、進行度などによって痛みのメカニズムも変わるというわけです。


例えば、卵巣で子宮内膜症が発症した場合には、排卵が邪魔されて痛んだり、また子宮周辺で発症した場合には腹膜との癒着が痛みを生んだり、といったことが起こるのです。


また、プロスタグランジンというホルモンに似た物質が痛みに関与しているという説も有力視されています。このプロスタグランジンは子宮内膜から分泌され、子宮を収縮させる働きをします。これによって不要になった月経血を外に押し出すのです。しかし、子宮内膜症によってプロスタグランジンが過剰分泌されて、これが子宮を過剰に収縮させ、それが痛みを生むというわけです。



「痛み」は体が異常を訴えるサインです。鎮痛剤で治まると安易に考えず、少しでも違和感を感じたら専門医に受診するようにしてください。また、月経のたびに生理痛がひどくなり、鎮痛剤が効かないようならそれは明らかな異常事態。すぐに専門医の診察を受けましょう。


(高橋モータース@dcp)