検索
誰でもかかる可能性のある病気。子宮内膜症の治療法とは?

2017.08.17

誰でもかかる可能性のある病気。子宮内膜症の治療法とは?


不妊の原因となる可能性もある子宮内膜症。今回は子宮内膜症の治療法について、近畿大学医学部附属病院臨床研究センターにて講師を務める病理専門医の榎木英介先生に伺いました。

取材協力・監修

榎木英介医師


東京大学理学部生物学科動物学専攻卒業後、大学院博士課程まで進学するも、進路の方向転換を決意して神戸大学医学部に学士編入学。卒業後は病理医となり、兵庫県内の病院に勤務した後、現在は近畿大学医学部附属病院臨床研究センターで講師を務める傍ら、若手研究者のキャリア問題や医療のあり方を考える活動をおこなっている。「博士漂流時代」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)にて科学ジャーナリスト賞2011受賞。近著は『医者ムラの真実』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『嘘と絶望の生命科学』(文春新書)など。


科学政策ニュースクリップ(official site)

http://d.hatena.ne.jp/scicom/

―病院選びのポイントを教えてください。

榎木先生 あらゆる角度から異変をチェックしてもらうためにも、婦人科を有した総合病院がいいでしょう。しかし、開業医でも手術が必要な場合は適切な病院を紹介してくれると思います。

―どんな人が子宮内膜症にかかりやすいですか?

榎木先生 原因不明といわれていますが、大体10%の女性が子宮内膜症を患っているとされるので、今現在気になる症状がなくても、自分とは無縁の病気だと思い込まないほうがよいでしょう。


月経のある女性なら誰でもかかる可能性があるので、初潮が早く妊娠経験がない人は、そうでない人と比べて月経回数が多いわけですから、症状が発見される可能性は高くなります。

―気になる症状があっても治療を受けずに放っておいたらどうなりますか?

榎木先生 血液が溜まっていくので、当然、痛みが増していきます。また、子宮内膜症が卵巣内に発生してできる「卵巣チョコレートのう胞」が大きくなると、のう胞がくるくる回る「捻転」を起こして血液の流れをふさいでしまうことがあります。さらに、のう胞が破れて腹膜炎を引き起こしてしまうこともあります。


さらに、「卵巣チョコレートのう胞」のうち癌になるのは約0.72%といわれています。年齢とともに癌化率は上昇します。わたしも病理医として、子宮内膜症の一部に癌が発生した事例をみてきましたが、そうなることを防ぐためにも、女性のみなさんには定期的に検査してほしいですね。

―子宮内膜症であることがわかった場合、どんな治療を受けることになりますか?

榎木先生 まず、子宮内膜症との診断を確定するためにおなかの中の病巣を直接診ることが必要です。問診、内診、直腸診、超音波検査、血液検査などの検査をした後、必要に応じてMRI検査やCT検査、腹腔鏡検査をおこなうこともあります。そこで子宮内膜症と確定したら、ホルモン療法などの治療を始めることになります。

【子宮内膜症の検査】


●問診:初経の時期、月経周期、妊娠や流産の経験、自覚症状、痛む時期や場所、どのような痛みであるかなどを確認する

●内診:子宮の大きさや形状、卵巣周囲の状態などを確認する

●直腸診:肛門から指を挿入して子宮の後ろ側の状態などを確認する

●超音波検診:子宮、卵管、卵巣をチェックする。これにより、チョコレートのう胞や子宮筋腫の有無、大きさなどがわかる

●血液検査:腫瘍マーカー値、貧血かどうかなどをチェック

●MRI検査:卵巣チョコレートのう胞や子宮腺筋症が疑われる場合、MRI検査によって癌との識別をおこなう

●CT検査:子宮や卵巣の状態を確認する

●腹腔鏡検査:お腹に5mm程度の穴を開け、そこから腹腔鏡をいれて体内をモニターに映し出して病変を確認する

薬を服用または投薬するホルモン療法としては、「偽閉経療法」と「偽妊娠療法」があります。「偽閉経療法」とは、卵巣の働きを抑制して一時的に閉経した状態を作り出す治療法で、「偽妊娠療法」とは、黄体ホルモン製剤や低用量ピルなどを服用することによって、人為的に偽妊娠状態を作り出す治療法です。


ただし、子宮内膜症が原因で妊娠できていない場合、ホルモン療法はおこなわず、不妊治療を優先することもあります。なぜかというと、妊娠によって月経が止まると子宮内膜症の症状が軽くなるケースもあるからです。


また、卵巣チョコレートのう胞がある場合や痛みが強い場合は、入院加療が必要なこともありますし、手術により癒着をとったり、病変を取り除いたりすることもあります。



もしかして?という症状がある方は、ぜひ早めに専門医を受診するようにしましょう。


(取材・文 松本玲子)