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子宮内膜症を発病すると、どんな症状が現れる?

2017.08.15

子宮内膜症を発病すると、どんな症状が現れる?


生理のある女性の1割近くが患うことがあるといわれている「子宮内膜症」。進行するにつれ、生理痛や排便痛がひどくなるばかりか、不妊の原因となることもあるので、早期に発見して治療することがとても大切です。とはいえ、セルフチェックのポイントがわからないという人は多いはず。


そこで今回、子宮内膜症の症状について、近畿大学医学部附属病院臨床研究センターにて講師を務める病理専門医の榎木英介先生に伺ってきました。

取材協力・監修

榎木英介医師


東京大学理学部生物学科動物学専攻卒業後、大学院博士課程まで進学するも、進路の方向転換を決意して神戸大学医学部に学士編入学。卒業後は病理医となり、兵庫県内の病院に勤務した後、現在は近畿大学医学部附属病院臨床研究センターで講師を務める傍ら、若手研究者のキャリア問題や医療のあり方を考える活動をおこなっている。「博士漂流時代」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)にて科学ジャーナリスト賞2011受賞。近著は『医者ムラの真実』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『嘘と絶望の生命科学』(文春新書)など。


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―子宮内膜症とはどのような病気なのでしょうか?


榎木先生 子宮の内膜が、本来はできない場所にできてしまう病気です。通常、子宮の内側だけに存在する子宮内膜が、子宮の筋肉部分や卵巣をはじめとするさまざまな部位に発生します。わたしが出会った患者の中には、大腸に子宮内膜症ができて出血、癒着を起こしていている方もいましたし、リンパ節に子宮内膜症ができている方もいました。どちらも、癌との区別が難しかったです。

■子宮内膜症が発生しやすい部位

・腹膜:小さめの病変が多く、子宮内膜症の中では軽度だが、癒着しやすい。

・卵管:病巣ができることによって卵管が狭くなり、不妊の原因となることもある。

・卵巣:ドロドロになった茶色の血液が溜まる。その色味から、「卵巣チョコレートのう胞」と称される。

・膀胱:排尿時に痛みを伴うことや血尿が出ることも。

・小腸:下腹部が痛む。また、進行すると下血や血便などの症状も出てくる。

・直腸:排便通、血便などの症状が現れる他、排便障害を起こすことも。


―そもそも子宮内膜は体内で定期的に作られているのでしょうか?


榎木先生 子宮内膜は、受精した卵子を受け止めて子宮の中で育てるために不可欠なもので、月一度程度の周期で作られては壊れています。妊娠した場合、子宮内膜は「脱落膜」という膜に変化して、赤ちゃんに栄養や酸素を供給する役割を果たすことになりますが、妊娠しなかった場合、膣から排出されます。


これが通常の月経なのですが、本来あるべき場所以外に発生した内膜は、正常な子宮内膜同様にホルモンの影響で出血しても、体外に排出されることがありません。逃げ場がなくなった血液はその場に溜まって病巣となり、病巣が大きくなると痛みを引き起こすこともあります。


また、病巣から子宮を収縮させるホルモンが出て痛みを生じさせることもありますし、炎症の繰り返しによって癒着が起きることも痛みの原因となります。


―では、強い痛みがある場合に受診を考えたらよいのでしょうか?


榎木先生 子宮内膜症は、病巣ができた部位によって症状が異なりますし、なかには自覚症状がまったくない人もいます。しかし、激しい月経痛が起こることが多いので、月経痛に悩まされている方は一度受診してみてください。


また、過多月経、性交痛、排便痛、血尿などの症状が現れる場合もありますし、卵巣に病巣ができた場合は、おなかが張っているような感覚を覚えることがあります。


それと、子宮内膜症が原因で不妊となることもあるので、なかなか赤ちゃんができなくて悩んでいる人は、婦人科医に相談してみることをすすめます。


(子宮内膜症取り扱い規約第2部 治療編・診療編 2010年より)

(取材・文 松本玲子)