日本の家庭で使われ続けている「サラダ油」。これがどんな油なのかをご存知でしょうか? また、スーパーには「キャノーラ油」も売っていますが、「サラダ油」と何が違うのでしょうか? 今回は「サラダ油」についてご紹介しながら、疑問を解決します。
監修
管理栄養士 望月理恵子
株式会社Luce 代表取締役/小田原銀座クリニック 栄養顧問
健康検定協会ライターメンバー
医師、薬剤師、管理栄養士、各専門家が在籍し各々の専門分野にて執筆。
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■「サラダ油」には規格がある
最近はスーパーなどで売っている食用油の種類も増え、さまざまな油を目にします。「オリーブオイル」の原料は「オリーブ」というように、原料が分かりやすいものが多いですね。では、日本の家庭でおなじみの「サラダ油」の原料は何なのでしょうか。
実は、食用油を含む加工食品については日本農林規格(JAS)によって規定されています。2018年3月29日の改正時点では、「サラダ油」の原料として認められているのは、以下の9種類です。
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サフラワーの種子
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ブドウの種子
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大豆
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ヒマワリの種子
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トウモロコシの胚芽
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綿の種子
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ゴマ
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アブラナまたはカラシナの種子
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米ぬか
まず、これらの「原料から採取した油を食用に加工したもの」を「食用〇〇油(例:食用サフラワー油)」といいます。これに精製処理を行い「清澄で香味良好であること」という条件を満たしたものを「精製〇〇油(例:精製サフラワー油)」といい、さらに精製度を高めて「清澄で、舌触りよく香味良好であること」という条件を満たしたものを「〇〇サラダ油(例:サフラワーサラダ油)」というのです。サラダ油は精製度がとても高いため、寒いところでも濁ったり固まったりすることなく、さらさらしています。
また、複数の原料から成るサラダ油を調合したものは「調合サラダ油」とされます。この場合も「清澄で、舌触りよく、香味良好であること」という条件は同じです。商品ラベルの「原材料名」の欄には、原料の混合割合が多い順に記載されます。
これを踏まえ「サラダ油」と呼べるのは以下の10種類ということになります。
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サフラワーサラダ油
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ぶどうサラダ油
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大豆サラダ油
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ひまわりサラダ油
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とうもろこしサラダ油
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綿実(めんじつ)サラダ油
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ごまサラダ油
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なたねサラダ油
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こめサラダ油
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調合サラダ油
というわけで「サラダ油」とひと口にいっても、実際は原材料によって10種類に分けられます。「サラダ油は原料もよく分からない油」というイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは昔のことです。
現在の「サラダ油」は、JAS規格による規定をクリアしたものだけが名乗れるため、安全な油だといえるでしょう。
■「サラダ油」と「キャノーラ油」との違いは?
少し前から見られるようになった「キャノーラ油」という油があります。これは「なたね油」の一種で、メーカーによっては「食用なたね油」として販売しています。これは現在のJAS規格でいえば「アブラナ(またはカラシナ)の種子から採った油を食用に加工したもの」です。JASの規定によると、食用なたね油は「なたね特有の香味を有し、清澄であること」とあり、サラダ油と比較すると原料の風味がより感じられる油です。
また、「キャノーラ油の原料はキャノーラ種という品種改良した種類で、なたね油とは原料が異なる危険な油である」という説もあります。
説を唱える人たちが「危険」としている理由は、
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キャノーラ種は遺伝子組み換えによって作られた不自然な作物である
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効率良く油を抽出するため、化学溶剤を使っている
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抽出過程で加熱するために酸化しており、有効成分も失われている
といったものです。
しかし、「食用なたね油」と表示されている商品については、JAS規格に準拠しており安全性には問題ないと考えられます。どうしても安全性が気になる方は、表示ラベルでJASマークを確認するといいでしょう。
安全性が気になるという理由で、サラダ油やキャノーラ油を敬遠する方もいらっしゃいます。しかし、現在のサラダ油などはJAS規格によって品質や安全性が保証されていると考えられます。油の取り過ぎには気を付けたいですが、安全面については商品ラベルをよく確認しておけば問題なさそうですね。
⇒参照元:『農林水産省』「食用植物油脂の日本農林規格」
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kikaku_itiran2-21.pdf
(藤野晶@dcp)