1.クロルヒドロキシアルミニウムとは
クロルヒドロキシアルミニウムは、アルミニウムや塩化物が結合してできたアルミニウム錯化合物(さくかごうぶつ)です。水に溶けやすく、アルコールには溶けません。
主に制汗剤などに使われることが多く、高い収れん(しゅうれん)効果を持っています。
収れん効果とは、毛穴や肌を引き締めてくれる効果のこと。肌内部の血管や組織を縮小させることで毛穴や肌を引きしめます。
クロルヒドロキシアルミニウムは、「毛穴を引きしめる」「肌を引きしめる」ことに優れている成分と覚えておくと良いでしょう。
2.効能
クロルヒドロキシアルミニウムの効果は大きく分けて3つあります。
①制汗効果
制汗剤などに配合されることで、毛穴を引きしめて発汗を抑えてくれる働きがあります。
②収れん効果
収れん効果により、肌や毛穴を引きしめ、肌のきめを整えます。皮脂をコントロールし、肌に潤いを与えてくれる効果も期待できます。
③消臭効果
常在菌の増殖を抑制する抗菌効果があり、発生した体臭を抑える働きがあります。
上記のように制汗・収れん・消臭の効果から、防臭化粧品に使用されることが多い成分です。
防臭化粧品とは、汗臭や腋臭(わきが)、足臭などの体臭発生を抑える化粧品のことをいいます。いわゆるデオドランド製品と呼ばれるものです。
デオドランドローション・スプレー・パウダー・スティックなど、種類も豊富で、種類により使用感や効果も異なります。
〇防臭化粧品の種類と効果
・ローション
エタノールを多く含むため清涼感を感じやすい。ロールオンタイプは防臭効果が高い。
・スプレー
サラッとした使用感。液体化したガスが気体になり温度が下がることで冷たく感じる。防臭効果は低い。
・パウダー
伸びや滑りがよい。防臭効果は低い。
・スティック
油性成分が多く配合され、付着力に優れているため、防臭効果に持続性がある。防臭効果は高い。
効果を有効にするには、防臭化粧品を、気温や体質、日によって使い分けることも大切です。
それぞれの特徴を理解していると、選定しやすくなりますよね。
3.使い方
防臭化粧品は、肌にとどまって汗腺に栓をすることで、汗が出る前にブロックしてくれます。そのため、お出かけ前などの汗をかく前に使用することで毛穴を引きしめ、高い制汗効果を実感できます。
「汗をかく前に使用する」というのがポイントです。
また、すでに汗をかいてしまったときは、拭き取って清潔にしてから制汗剤を使用することで、菌の増殖を抑えることができます。
「汗を一度きれいに拭き取る」というのもポイントです。
4.使用上の注意
制汗剤などに多く配合されていることから「塩化アルミニウム」という成分と比較されることが多いです。
しかし、「塩化アルミニウム」は作用が強いですが、それに伴い刺激もやや強い傾向とされています。
「クロルヒドロキシアルミニウム」は作用も刺激も緩和されているため、幅広い製品に使用されています。
しかし、全く刺激がないというわけではないので、敏感肌の方は注意して使用しましょう。
5.クロルヒドロキシアルミニウムが含まれている商品を手に入れるには?
クロルヒドロキシアルミニウムが配合されている製品は防臭化粧品が多く、
ドラッストアなどで購入することができます。各化粧品メーカーの店舗や、通販サイトなどでも購入可能です。
・防臭化粧品
「制汗機能」「消臭機能」として配合されています。
♦スポーツビューティ デオドラント スティック
・ヘアカラー・トリートメント剤
ヘアカラー剤としての役目は、カラー剤の退色を防止する目的で、ヘアカラー剤・ヘアトリートメント剤に配合されています。
♦50の恵頭皮いたわりカラートリートメント
・ファンデーションなどのメイクアップ化粧品
メイクアップ化粧品としての役割は、顔料などの粉体を留めておくことで、化粧崩れ防止のために配合されています。
♦スタインズ アクトレスメイクアップ ピンクプライマー 10g
防臭化粧品に多く配合されていますが、様々な化粧品にもそれぞれの役目をもって配合されています。
6.豆知識
実は、分泌された直後の汗や皮脂にはにおいがありません。それでは、なにがにおいの原因なのでしょうか?
まず、肌には「汗+皮脂」でできている「皮脂膜」という肌を守るベールがあります。この皮脂膜は常に弱酸性のため、肌表面も弱酸性に保たれ、においはしません。
しかし、汗をかいた後、時間が経つにつれて古い角質と混ざり合い、皮脂が酸化し細菌に分解されることにより、肌表面がアルカリ性に傾いていきます。
特に、脇や足の指の間など、通気性が悪く汗が蒸発しにくい場所は、アルカリ性に傾くことで、アンモニア臭のようにきついにおいを発生させます。
このようにして発生したにおいを抑制するため、クロルヒドロキシアルミニウムが配合された防臭化粧品が役立ちます。
しかし、肌にとっては皮脂膜が必要で、皮脂膜にとっても汗は必要不可欠です。だから、汗をかくことも大切なことなのです。
防臭化粧品を必要以上に使用することを控えながら、肌にとって負担の少ないケアをしていきたいですね。
【爪肌育成マエストロ/イクタジマシホ】
参考文献
・日本化粧品検定1級対策テキスト
・化粧品成分ガイド
・化粧品成分検定公式テキスト