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「寝ないと太る」は本当だった。睡眠と美容の関係

2018.09.27

「寝ないと太る」は本当だった。睡眠と美容の関係


誰しも、特に女性の場合、美容を気にする人は多いと思います。美を維持するために化粧品を買ったり、エステに行ったり…美容にお金をかけている人は少なくないでしょう。でも、できることならなるべくお金をかけたくないものですね。

では、お金をかけない美容方法とは何でしょう?-答えは「睡眠」です

肌質改善のためには「長時間の睡眠」が必要


深い睡眠中はさまざまなホルモンが分泌されます。そのひとつが成長ホルモンです。成長ホルモンは特に深いノンレム睡眠の時に大量に分泌されています。「寝る子は育つ」というのは科学的な根拠があるのです。大人は子どもよりも成長ホルモンの分泌量は少ないですが、それでも重要な働きを担っていることは確かです。成長ホルモンは組織の損傷の回復疲労回復、新陳代謝の活性化に役立っています。そして皮膚や髪の毛の再生を促す役割を果たしています。「寝不足だと肌が荒れやすい」といわれるのには、成長ホルモンが関わっていたのです。


また、母乳分泌を促進するプロラクチンは睡眠中に分泌されます。このプロラクチンは成長ホルモン同様に身体の修復機能と関係しています。特に産後の母親の体の修復、体力改善、美容の役割を果たしています。また、排卵を促進する性腺ホルモンの分泌も睡眠中に行われます。このホルモンは女性らしい体つきを作る役割を果たしています。

また、脳の松果体から分泌されるメラトニンは暗くなる夜に生産され、体内時計による睡眠の調節に大きな役割を果たしています。このメラトニンは、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促進する役割を果たしています。老化防止に役立つともいわれていますが、加齢によって生産量が減少するため、高齢者の不眠と関連しているとされています。


これまで「夜22:00~深夜2:00のゴールデンタイムと呼ばれる時間帯に眠るのが美容に良い」といわれていましたが、時間は関係ないことが著名な研究者によって報告されています。さきほど述べたように、成長ホルモンが分泌されるのは深く眠っている間です。ちなみに深い眠りが訪れるのは眠りはじめの3時間後です。したがって、特定の時間帯ではなく、いかにしっかり眠れるかが重要になります。このことから、短い時間でこまぎれに眠るのは美容に良くないことがわかります。

眠らないと太りやすい


睡眠の研究者は次のように述べています。「寝ないと太るのは世界の常識である」と。しかしメタボ対策では食べ物や運動ばかり注目されていて、睡眠が盲点になってしまいがちです。


メタボ対策・ダイエットには十分な睡眠が不可欠といわれています。スタンフォード大学で1024人を対象に睡眠とBMIとの関連を研究した結果、睡眠時間7~8時間のグループが最もBMI値が低いという結果になりました。睡眠時間が短すぎる・長すぎる場合は太りやすいことがわかっています。

睡眠時は交感神経よりも副交感神経機能が活発になります。この機能により、腸の活動を進め、便を肛門の方へ押しやることができます。睡眠は腸活にも役立っているわけです。痩せようと夜遅くにジムで激しいトレーニングをしている人もいるでしょう。しかし、激しい運動をすると、副交感神経よりも交感神経が活発になります。したがって、激しい運動は日中の方が望ましいとされています。


なぜ眠らないと太りやすいか、というメカニズムはまだ科学的にはっきりと証明されてはいません。現時点で有力なメカニズムとして、食欲を抑えるレプチンというホルモンと、食欲を促すグレリンのホルモンのバランスが、睡眠不足により崩れるためと推測されています。また、夜遅く食べたものは脂肪として蓄積されやすいともいわれています。


また、成長ホルモンの機能のひとつに糖の細胞内のとりこみや脂肪の沈着を抑制する機能があります。一般に肥満の人の方が痩せている人よりも成長ホルモンの値が低いことが研究でわかっています。

さらに、コルチゾールというホルモンは起きるときに分泌され、血糖値を上げる機能があります。交感神経の機能が活発になり、「起床モード」になるわけです。しかし、睡眠不足だとこのコルチゾールは分泌され続け、血圧や血糖値が上がるリスクが高まります。睡眠不足は2型糖尿病や生活習慣病のリスクを上げるとされていますので、いかに睡眠不足が美容や健康の大敵であるかがわかるかと思います。

女性は睡眠時間が短い?


このように、睡眠は美容に大きく関わっています。女性の方が美容やダイエットに敏感だから…という理由だけでなく、女性の方が男性よりも睡眠の問題を抱えやすいことから、特に女性は睡眠に気を付けるべきである。ということを知っていましたか?


これは女性ホルモンが影響しているといわれています。女性の場合、思春期頃から月経がはじまります。月経前になると睡眠の質が下がりやすくなり、妊娠・出産期では女性ホルモンの激しい変動により睡眠リズムが乱れやすくなります。更年期になると、女性ホルモンの分泌が低下し、なかなか寝付けない・夜中起きるといった睡眠の問題が生じやすくなります。

この、月経に伴う女性ホルモンの変動と睡眠の問題は切っても切れない関係であるといえます。


私たちは体内時計の機能があります。これは脳の視床下部による機能です。前述の通り、夜になると脳の松果体からメラトニンというホルモンを分泌し、このメラトニンが体温、脈拍、血圧を低下させ、体が睡眠に入る準備を整えてくれます。しかし、月経前は女性ホルモンの影響で体温が上がるために、この体内時計の機能が十分になされなくなります。したがって、月経前はなかなか眠れないという問題が生じやすくなります。


女性と睡眠の問題は、女性特有の身体による要因だけではありません。一般的に、女性の方が男性よりも朝行うことがたくさんあります。メイクや服選びといった身支度は男性より時間を要する傾向にありますし、育児・家事と仕事の両立も大変です。研究では女性の方が男性よりも睡眠時間が短いことが明らかになっています。


このような問題を改善するには日々の工夫が大切です。

美容を維持するために「睡眠時間を確保する」「睡眠リズムを整える」ことを目指しましょう。

工夫点として次のようなことがあげられます。

  • 起床したら日光を浴びる

  • 朝食を食べる(炭水化物・タンパク質・ミネラル・ビタミンをなるべく摂取する)

  • 夜、ぬるめのお風呂に入る(リラックスして副交感神経を優位にする)

  • 翌日にまわせる作業は翌日に行う(夜遅くまで作業をすると睡眠リズムがずれるため)



ぜひ試してみてください。

参考文献

白川修一郎 おもしろ看護睡眠科学 メディカ出版 1999

内山真 編 睡眠障害の対応と治療ガイドライン じほう 2002

神山潤 健康を育む「ねむり」の科学―睡眠の生理と臨床 診断と治療者 2003

神山潤 睡眠で人生が劇的に変わる生体時計活性法 講談社+α新書 2008

川端裕人・三島和夫 8時間睡眠のウソ。日本人の眠り8つの新常識 日経BP社 2014

永井佳代・遠藤拓郎 女性のための睡眠バイブル 主婦と生活社 2008

(執筆・監修 ユナイテッド・ヘルスコミュニケーション株式会社)