日本人の死因で一番多いのは「がん」です。40歳を過ぎるとがんに罹患(りかん)するリスクが高くなるといわれており、これは実際に統計上でも確認されています。アラフォーを迎えた方は、ぜひ検診を受けておくべきでしょう。今回は、特に「女性が受けておきたいがん健診」についてご紹介します。
記事監修
古川真依子 先生
消化器内科医。2003年東京女子医科大学卒業後、東京女子医科大学病院附属青山病院消化器内科医療錬士として関連病院等に出向。2008年に帰局後助教として勤務。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。女医+(じょいぷらす)所属。
▼東京ミッドタウンクリニック
■アラフォーになると「がんのリスク」は高まる
『国立がん研究センター がん情報サービス』の「最新がん統計」によると、2016年にがんで死亡した男性は21万9,785人、女性は15万3,201人でした。また2013年に新たにがんと診断された人は、男性で49万8,720人、女性で36万3,732人です。
この新たにがんに罹患した女性36万3,732人を年齢階級別に見ると、次のようになります。
・0-9歳……542人 0.1%
・10-19歳……618人 0.2%
・20-29歳……2,242人 0.6%
・30-39歳……1万978人 3.0%
・40-49歳……3万1,686人 8.7%
・50-59歳……4万4,327人 12.2%
・60-69歳……7万9,950人 22.0%
・70-79歳……9万2,875人 25.5%
・80歳以上……10万514人 27.6%
計36万3,732人
⇒データ出典:
『国立がん研究センター がん情報サービス』「がんに関する統計データのダウンロード」「2.罹患データ(全国推計値)」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#mortality
このように40代ではそれまでの年齢よりもがんに罹患するリスクが高まっています。20代から30代でもがんを発症する人が増えることが分かりますね。
■女性が受けておきたい「がん検診」
上記の最新データで女性の「部位別がんの死亡率」が高いのは、
第1位 大腸(36.0人)
第2位 肺(33.4人)
第3位 膵臓(すいぞう)(25.6人)
第4位 胃(24.4人)
第5位 乳房(21.8人)
※大腸を結腸と直腸に分けると結腸が2位、直腸が9位になります。
となります(これは1年間に人口10万人当たりに何人死亡するかというデータです)。「女性特有の臓器に発症するがん」の死亡率では、
・子宮体部(9.9人)
・子宮頸部(けいぶ)(4.2人)
・卵巣(7.4人)
※同様に1年間・10万人当たりの死亡率
となっています。女性は特に「乳房がん」での死亡率の高さが注目されます。また、女性では男性に比べて「甲状腺がん」での死亡率が高いことが知られています。
-
男性の「甲状腺がん」での死亡率:1.0人
-
女性の「甲状腺がん」での死亡率:1.9人
※同様に1年間・10万人当たりの死亡率
ですので女性が受けるべきがん検診は、大腸・肺・結腸・膵臓・胃・甲状腺のほか、特に「乳房」また女性に特有の子宮・子宮周辺組織・卵巣などの部位を検査するものということになります。
もちろん人間ドックなどで体のすみずみまでスクリーニングを受けるのがベストですが、時間やお金の制約でそれができない場合には、医師に相談してプライオリティーの高い部位から検査を受けると良いでしょう。
若く健康なうちは、自分が病気になることなど想像もしません。しかし、ある程度の年齢になったら「自分の健康」について考え、自ら責任を持たなくてはなりません。普段は気にもしないかもしれませんが、発症してからでは遅いのです。アラフォーになる前にぜひ「がん検診」を受けるようにしてください。
(高橋モータース@dcp)