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【アラフォーのお悩み】「物忘れ」が多くなるのはどうして?

2018.06.29

【アラフォーのお悩み】「物忘れ」が多くなるのはどうして?


更年期になると女性はいろいろな心身の不調に悩まされるようになります。これは「更年期症状」というものですが、その中に「記憶力の減退」があります。いわゆる「物忘れ」です。なぜ更年期になると物忘れが多くなるのでしょうか?

記事監修



加藤智子先生


産婦人科医。浜松医科大学医学部医学科卒業、社会医療法人財団新和会八千代病院、三河安城クリニック勤務。日本産科婦人科学会(専門医)、日本医師会(認定産業医)、日本抗加齢医学会(専門医)、NPO法人女性と加齢のヘルスケア学会(更年期カウンセラー)、日本産婦人科内視鏡学会、日本女性心身医学会、検診マンモグラフィ読影認定医、日本気象予報士会東海支部(気象予報士)、食生活アドバイザー。女医+(じょいぷらす)所属。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/111

■女性ホルモン「エストロゲン」は記憶にも関わっている!

更年期症状は、主に女性ホルモン「エストロゲン」の分泌の減少によって起こります。エストロゲンは、女性の体を健康に保つためにさまざまな働きするのですが、実は記憶についても関わりがあります。


記憶に関わる「アセチルコリン」という脳内物質があります。アセチルコリンは脳の海馬という部位に働きかけて、記憶をつくるときの引き金になります(『山口大学大学院 医学系研究科』美津島大教授:2013年の研究)。また、アセチルコリンには脳の血管を拡張させる働きがあり、これによって脳循環を保ち、神経細胞の活動を維持するのです。


エストロゲンにはこのアセチルコリンの分泌を促す働きがあります。また、アセチルコリンと同様に脳の血管拡張作用があり、記憶学習機能を回復させる働きをすることが『理化学研究所』の研究(山田真久博士の「山田研究チーム」2009年)によって分かっています。つまり、女性ホルモン「エストロゲン」の働きがある分、実は「女性の脳は男性に比べて記憶障害に強い」のです。


しかし、閉経(日本人女性の平均閉経年齢はだいたい50歳)に近づくにつれエストロゲンの分泌は減少し、閉経を過ぎるとエストロゲンはほとんど分泌されなくなります。


そのため、これまで働いてきた記憶を助ける力、記憶学習機能を回復させる力が失われてしまいます。女性の更年期の症状の一つである「物忘れが多くなる」ことは、エストロゲンの減少が引き起こすと考えられるのです。


女性ホルモン「エストロゲン」の作用といえば「思春期に女性らしい丸みを帯びた体をつくる」といった「性差」に関わるものがよく挙げられます。しかし、今回ご紹介したとおり、エストロゲンは記憶にも関わっているのです。



閉経前の皆さんは、エストロゲンが規則正しく分泌されるように、バランスの取れた食事を取り、自分に必要な睡眠時間を確保するなど、生活習慣が乱れないように心掛けてください。エストロゲンは女性の体を守るための大事なホルモンなのです。

⇒データ出典:

・『山口大学大学院 医学系研究科』「アセチルコリンを引き金として、海馬シナプスに多様性が生じ、学習が成立する」

http://www.yamaguchi-u.ac.jp/library/user_data/upload/File/topics/13122702.pdf


・『理化学研究所』「女性ホルモン『エストロゲン』の記憶改善効果の一端を解明」

http://www.riken.jp/pr/press/2009/20090410/

(高橋モータース@dcp)