検索
あなたは太りやすい?どんな肌質?「遺伝子検査」で分かること

2018.05.25

あなたは太りやすい?どんな肌質?「遺伝子検査」で分かること


自分の「遺伝子」について気になったことはありませんか? たとえば、病気や体質など……。遺伝子が原因となる可能性があるものについて、きちんと調べることができればいいですよね。遺伝子の解析技術が進歩したおかげで、多くの会社が「郵送された唾液などの検体で遺伝子検査を行い、結果を知らせる」というサービスを提供しています。今回は「遺伝子検査」についてご紹介します。

■そもそも遺伝子検査とは?

生物の形質は遺伝子(遺伝情報の本体、遺伝子の本体は「DNA」)によって決定されます。遺伝情報はいわば設計図で、それぞれの生物は設計図どおりに形作られます。


近年はこの遺伝子を解析する技術が進歩したため、設計図を読み取って「この人はこの病気になりやすい」「この部分の遺伝子が変異しているので生まれてくる赤ちゃんは○○という疾患になってしまう」といったことが分かるようになりました。


女性読者の皆さんに最も関係するのは「出生前診断」です。出生前診断では、

  • 先天性・遺伝性の病気がないか

  • 奇形はないか

  • 染色体異常はないか

などを調べます。ここで行われる検査では、羊水・絨毛(じゅうもう)などから採取した細胞を培養し、増殖した細胞からDNAを取り出して解析。生まれてくる赤ちゃんに先天性異常がないかを調べるのです。

このように遺伝子検査とは、DNAを解析して「その人が持っている遺伝情報がどのようなものであるのか」を調べるために行われます。


遺伝子検査ではその人の究極の個人情報である「DNA」を調べます。そのため遺伝子検査を実施する医療機関には、情報保護がしっかりしており、検査で分かることがどのようなものなのか(また検査の結果分かったことについて)を検査を受ける人にきちんと説明できることが求められます。


医療機関で行われる遺伝子検査では、

1.遺伝性の疾患を持っていないか

2.薬に対する副作用を持っていないか

などを主に調べるために行われますが、

3.発症前診断(遺伝的に発症しやすい病気はないか)

4.遺伝的にがんや生活習慣病にかかりやすくないか

といったことを調べることもあります。遺伝子検査の用途が「病気の予防」についても広がっているわけです。


また医療機関による遺伝子検査では、実施の前にカウンセリングが行われます。病気や相談内容について検討し、「遺伝カウンセリング」で、医療機関の専門スタッフは遺伝子検査が必要かを相談者と十分に話し合います。遺伝子検査が行われた場合には、その結果が検査を受けた人に分かりやすく説明されます。


このように、医療機関における遺伝子検査は非常に慎重に行われるのです。


遺伝子検査にかかる費用は医療機関、検査の内容によって異なります。健康保険が認められている遺伝子検査を行うのであれば、遺伝カウンセリング(ひとりにつき月1回)も含めて保険適用。


2018年3月現在は72の疾患を調べるのに必要な遺伝子検査が保険適用になっています。ただし、保険適用外の疾患に対して調べるなどの場合には保険適用外になり、数万円、また時には100万円超かかるといったケースもあるのです※。

⇒データ出典:

『厚生労働省』「ゲノム医療の推進に係る検討の進め方」

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/160218_tf_s1_2.pdf


※たとえば北海道大学病院で行われている「がん遺伝子検査」の「オンコプライム検査」を受けると101万4,774円かかります。

データ出典:『北海道大学病院』「『がん遺伝子診断外来』開設のお知らせ」

http://www.huhp.hokudai.ac.jp/hotnews/detail/00001144.html#a2_2

■「遺伝子検査キット」ってどんなもの?

最近では「遺伝子検査キット」というものが多数市販されています。安価なものは3,000円台からあり、Amazonなどのネット通販でも簡単に購入できます。


唾液などを採取してキットを販売している会社に郵送すると、遺伝情報の一部を調べて統計データと比較し、分析した結果を購入者に伝えてくれるというものです。調べてくれるのは、

  • 特定の病気にかかりやすいかどうか

    肺がん、胃がん、アルツハイマー病、歯周病、心筋梗塞、脳梗塞など

  • 「太りやすい」「肌質はどうか」など体質の傾向

といったことです。非常にお手軽に遺伝子検査が可能ですが、「診断」が入ると医療行為になるため、あくまで診断ではなく「疾患の可能性・リスク」「体質の傾向」といったものを把握するためにあります。


ですから、リスクの高さなどは分かるものの、これらの検査キットでは「多因子疾患」のみが対象で、単一遺伝子疾患は対象外となっています。多因子疾患というのは、遺伝的な特徴と環境要因の両方が原因となって起こる病気のことです。


あるひとつの遺伝子の異常が原因で起こる病気「単一遺伝子疾患」は、遺伝子を解析すればすぐに「この病気!」と分かりますが、これを行うと「診断」になりますから、医療外の商品としては行えないのです。


また厚生労働省の調査によると、このような遺伝子検査ビジネスを行っている業者の4割は、経済産業省の指針(遺伝子検査キットビジネスは経済産業省の管轄です)を守っていない、とのこと。


重要な点は、リスクを分析するのに「比較データとして日本人の結果を使っているのが73社のうち28社(38.4%)」だけだった点です。病気にかかるリスクはあくまでも統計データと比較して算出されるもの(逆にいえばそれだけのものです)。比較対象のデータが日本人のものではないというのは残念な点でしょう。



遺伝子検査ビジネスの広がりに対して、医療関係者からは警鐘を鳴らす声も挙がっています。確かに市販の遺伝子検査キットは便利なように見えますが、少なくとも日本ではまだ「医療」とはリンクしていないもの、という認識を持っていないといけません。


(高橋モータース@dcp)


▲遺伝子検査サービス「MYCODE」

▲遺伝子検査キット「GeneLife Genesis2.0」